2013年7月1日で安藤歯科医院は開院20年を迎えました。

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↑ 開院当時の安藤歯科医院



平成5年大久保町八木にて開院してから
一番大きく変わったことは
平成17年に大久保町わかばに移転したこと。
ずっと変わらないことは
「地域の皆様の歯の健康を守るお手伝いができれば・・。」
と思っていることです。

院長 安藤 雅文

八木に開院

20年という節目に開院当時を振り返ってみます。
前の診療所は山陽電車の中八木駅から西へ300m、国道250号線(浜国)沿いにありました。 八木には祖母の実家があり、親しみのある土地です。
診療所の周りには田があり、田植えが終わって田に水が入ると、カエルの鳴き声が診察室の中まで聞こえてきました。

海は見えないのですが海までの距離は近く、夏には海のにおい、存在を感じました。 秋のお祭りの日になると太鼓のドンドンという音になんだかソワソワとしました。 八木という土地柄なのか、自分の性格なのか、のんびりとした感じで診察をしていたような気がします。

又、八木は「櫻井さん」という名字の方が本当に多く、開院して当初は毎日毎日、新しい「櫻井さん」の登場に「どれだけの櫻井さんがいらっしゃるのか?」とビックリしました。

歯石のケア

そんな頃でしょうか・・印象に残っている患者さんがいらっしゃいます。当時40才半ばのNさん、その方は歯石の付着が特に多く、タバコを吸われていたので着色も有りました。スケーラーをすると歯のまわりにベターっと付いた歯石が次から次へとボロボロと取れていきます。

私は張り切って丁寧に時間をかけて歯石除去を行い、とても満足してその日の治療を終えましたが、次の診察でNさんが困ったように「歯石をとってもらったせいで歯がグラグラになったし歯が長くなった。」と言われました。 確かに、歯はグラグラになっています。「いままで歯石で歯と歯をつないでいたのです。
歯が長くなったのは、歯石除去によって腫れていた歯茎が下がった為に歯が長くなったように見えるだけで、これが正しい歯の長さです。」 そんなことをNさんに言ったように思います。

そしてその時はそのまま診察を終了してしまいました。一瞬、Nさんにとって不利益なことをしたのではないか? その迷いはしばらく心のなかでくすぶっていましたが、ありがたいことにNさんはそれから時々何かあると診察に来て下さいました。

そしてその度に今度 は少しずつ歯石除去をしていきました。 今、Nさんは数本の部分入れ歯はされていますが、あのまま歯石を取らないでいれば、もっとたくさんの歯を失うことになっていたと確信しています。

歯を失う原因

歯を失う原因は虫歯より歯周病のほうが多いのです。歯石は取らないといけません。ほっておくと歯肉のポケットのなかに黒くて硬い歯石がたまり、そして歯槽膿漏になります。歯茎の腫れ、出血、膿み、口臭、歯を支えている骨が溶けていきある日突然ボロッと歯が抜けた。
なんてことになります。

歯石は実際ついていても痛くもかゆくもありませんし50歳ぐらいまでは歯石を取ろうが取るまいがそう大きくは変わりません。しかし歯石をまめに取り、健診している人は80歳になってもほぼ歯が残ります。

今は、急いで歯石除去をすることはできるだけさけ、何回かに分けて取るようにしています。ただそのために時々、できれば定期健診に来ていただきたいと思います。

入れ歯の作成

もう一人、開院してから数年がたっていたと思います。小柄なおばあさんSさんが総入れ歯を持って来院されました。入れ歯があわずに物を食べたら痛いとのこと。よくあるケースです。

総入れ歯の作成もそれなりの数をこなし何となく自信をつけていた頃。持って来られた入れ歯とお口の状態を見せていただいたところ歯茎の高さがほとんどなく入れ歯がお口の中で安定しない為に動いて痛みが出ている、痛みが出るので入れ歯も歯茎や口内にあたらないように削って小さく小さくなってしまっている。

私は「入れ歯をもう少し大きくして吸着がよくなるような入れ歯を新しく作りなおしましょう。」と提案しました。 標準的なプロセス、お口にあったトレーを作る→トレーで型を取る→噛み合わせを調べる→歯を並べてみる→新義歯の完成、装着。ここまでは、いたって順調に進んでいきました。そして調整していきます。

2回、3回の調整、吸着は前の入れ歯に比べて確かによくなって動きも見られない、でもSさんは申し訳なさそうに「やっぱり痛いです。」と入れ歯を外したまま来院されます。4回、5回・・、噛み合わせを確認しつつ私はこのあと少しずつ入れ歯を削っていくこととなり、結局のところ最初にSさんが持って来られた入れ歯とたいして変わりのない大きさになってしまいました。

そして、入れ歯の床に軟質素材をしきやっとSさんは入れ歯をはめたまま来院して下さいました。「教科書的に理想の入れ歯」が「良い入れ歯」ではないとよくわかりました。 このあとSさんの診療は訪問診療で入れ歯の軟質素材を何ヶ月かに一回張り替えたり、調整したりしました。

20年の経験で学んだ事

大学の6年間そして大学に残っての数年間に勉強したことはもちろん今の治療のベースになっていますが、それはほんの「一例」で最善の方法とは必ずしも言えないと思えます。お一人お一人の生活習慣や環境、考え方によって一番良い方法、治療というのは別ある。今まで出会ったすべての人の治療を通じて教えていただきました。

こうして20年を振り返り安藤歯科医院にかかわっていただいたすべての方に感謝のきもちでいっぱいです。
そして最後になってしまいましたが、いままでのすべてのスタッフのみなさんに感謝しています。
どの人も思いやりがあり優しいひとばかりで、それが安藤歯科医院カラーではないかと自負しています。
これからもよろしくお願いします。

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